保育士求人によくある疑問と質問について解説

保育士求人サイトと人材紹介の闇と呼ばれるこの2つを保育業界の専門家が暴露という形で解説していきます

保育士の離職率は本当に高いのか?

保護者からの質問の一つに「保育園の先生はどうして辞める割合が多いの??」と聞かれます。近年はNEWSなどでも保育士の離職率は話題になっていますが、、、では実際の所、保育士の退職・離職率って本当に高いのでしょうか。

 

 

◆公立保育園と私立保育園では異なる離職率

 

私は私立保育園畑を歩んできましたので、上述の保育士の退職・離職率に関する質問はよく聞かれます。役職についてからは「先生たちの給料をもっとあげてあげなよ」なんて質問もいただくことも増えましたw

 

そもそもとして、この質問って公立保育園ではあまり聞かれない質問なんです。理由は公立保育園の正規職員において【異動】はあっても【退職】は年に1人いるかいないかだからです。

 

 

 

◆公立園と私立園の選択時点で離職の割合は決まっている。

 

これは東京のような保育士不足の都市部と買い手市場の地方では全く状況が異なります。

 

地方は公立保育士になりたくても空きが出ない。採用試験が行われても倍率10倍などの激しい競争の影響で私立保育園に就職するという流れが多いですが、東京23区の場合、公立保育士は倍率が2~4倍程度で、採用人数が20~40名なんて年度もあるので、しっかり対策を練って勉強をすれば比較的受かりやすいです。

 

その為、東京などの都市部で公立保育園を受験する人は基本的に『長期的に働くことを前提』として就職を考えており、始めから私立保育園を受験する人は、長期的に働くことはそれほど重点的に考えていない保育士が多いというのがそれぞれの特徴です。

 

 

 

◆女性の職場ということで考える離職率

 

確かに私立保育園の離職率は一般企業と比べると高いと言われています。実際に潜在保育士の数も70万人以上と言われているほどです。(平成27年厚生労働省の統計)

 

 

しかし保育園というのは9割以上が女性保育士です。となると男性社会と比べると当然離職率は高くなります。それは育児休暇の取得率を見ても明らかで、子どもが生まれた後に育児に入る割合は圧倒的に女性の方が多いですよね。

 

★育児休暇取得率

 女性 : 82.2% (対前年度比 1.0ポイント低下)
 男性 : 6.16%    (対前年度比 1.02ポイント上昇)

 

厚生労働省:2019年6月発表データより

 

 

となると、当然男性の含まれている職場よりも女性中心の保育園というのは出産を機に家庭に入る割合も多くなります。

 

また保育士は一般的に「結婚に対する憧れ」が強く。「自分の子どもは自分の手でしっかり育てたい」という想いが人一倍強いため、結婚を機に家庭に専念。育児休暇ではなくそのまま子育てに専念という選択を取る割合がとても高いのです。

 

実際に「子どもたちが好きだから」「子どもたちの成長の為に働きたい」といった想いを持って選んだ専門職ですから当然この考え方って強くなりますよね。

 

 

◆育休ではなく退職を選ぶ保育士たちの本音

 

近年は育児休暇給付金の割合も上がったことで、退職ではなく育休を選択する保育士も増えました。しかし復帰後は正社員ではなくパート保育士を選択する保育士が非常に多いです。これはそれだけ保育士という仕事を正職員と並行して育児をこなすことが難しいという保育士の本音でしょう。そして・・・そのまま1年でフェードアウトというのも事実あります。

 

時短勤務や仕事内容を制限することも保育園側の制度として十分可能な体制は出来ているのですが、、、やはりこのあたりが女性の職場ならではで周りの先生たちに気を使って制度をフルに使うことを躊躇う保育士も多いです。

 

育児との掛け持ちで保育士が最も大変なのは「早番」と「遅番」勤務が出来ないこと。それと子どもの体調を理由に早退や欠席が予定外に多くなること。だったら最初からパートに切り替えようという発想が多くなります。この辺りも公立と比べて保育士不足の影響を大きく受けている私立保育園の特徴の一つでしょう。

 

 

 

◆意外と難しい自分の子育てとの両立

 

保育園の保育士業務と自分の子どもの子育てって実は全く異なります。これは男性保育士である私も同意見です。保育士の小林まると父親の小林まるでは全く違う姿があります。その為、この切り替えが意外と難しいと考えている保育士も多いのですが・・・

 

育児中の保育士は「どうして自分の子どもを他の保育園に預けて他人の子どもを見ているんだろう」という不思議な感覚に襲われることも少なくありません。普通に考えたら「仕事でしょう??」と思うことかもしれませんが・・・

 

『保育士として実質9時間、保護者の子どもを側で見ている。自分の子どもは朝の2時間と夜の4時間しか見られない。』子どもに対して特別な想いを持った保育士だからこそ自分の子どもを見る時間の方が少ないことに複雑な想いを感じてしまうのです。

 

 

◆保育士は色々な保育園がみたい

 

おそらくこの部分が今回の核心部分です。保育園って同じ保育園って当たり前ですがありません。そして保育園によって行われている保育園って本当に様々なんです。だからこそ専門職として保育士は他の保育園を見てみたい。他の保育士さんと働いてみたいという気持ちが強く湧くのです。中には幼稚園で幼児をずっと見ている中で、乳児を見てみたいという保育士もいます。

 

また保育園って本当に色々な所にありますよね。ならば結婚を機に住居が変わった場合に、子育ての時間を多く取る為に家の近くの保育園に転職という考えも発生します。

 

そんな考えを後押ししているのが、保育士は昇給額が少ないということ。今では国や自治体からの補助金で平均年収が大幅に上がりましたが、、、昇給額が少ないのであれば勤続するよりも、自分がやりたいと思う保育。みてみたい保育を優先するという気持ち・・・同じ保育士として理解出来ます。

 

(結婚していなくても3~4年目の先生が退職する一つにこのような理由ってとても多いんです。)

 

 

でもこの昇給額については補助金運営の保育業界において私立保育園では避けることの出来ない課題の一つ。その辺りを考えると「長期的な勤務を視野に入れた場合は私立保育園よりも高い水準で安定して昇給していく公立保育園」という選択をする保育士が多いわけです。

 

 

★まとめ

 

実際にまだまだ『ブラック保育園』と言われる保育園は多く、上記理由ではなく単純にこの保育園ではもう働きたくない。保育士自体辞めてやるということも少なくありません。

 

ただこのような理由で辞めていく保育士が多いと勘違いされている方も多いようなので、今回は改めて保育士の転職・退職について解説をしました。

 

好きな先生、信頼している先生にはいつまでも保育園に居て欲しいという気持ちもあるかと思いますが、、、保育士さんにも色々な想いがあるのだなと暖かく見守っていただけるととても嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

◆他の保育園をみたいと思う保育士が多い